ソニーから発売されたEマウントの大口径単焦点レンズ『FE 24mm F1.4 GM (SEL24F14GM)』のレビューを行いたいと思います。
FE 24mm F1.4 GMが発表となった時に、キヤノン、ニコン、シグマの24mm F1.4の単焦点レンズとスペック比較した記事はこちらです。あわせてご覧ください。
・F1.4単焦点レンズなのに小型軽量
・開放F1.4からバッチリ解像
・とろける様なボケ表現
・絞りリングで直感的に操作
・ボディに取り付けるとカッコイイ
ソニー FE 24mm F1.4 GM (SEL24F14GM)
スペック
基本仕様 | |||
---|---|---|---|
対応マウント | α Eマウント系 | フォーカス | AF/MF |
レンズ構成 | 10群13枚 | 絞り羽根枚数 | 11 枚 |
焦点距離 | 24 mm | 最短撮影距離 | 0.24 m |
最大撮影倍率 | 0.17 倍 | 開放F値 | F1.4 |
画角 | 84 度 | 手ブレ補正機能 | |
防塵 | ○ | 防滴 | ○ |
サイズ・重量 | |||
最大径x長さ | 75.4×92.4 mm | 重量 | 445 g |
フィルター径 | 67 mm |
G Masterレンズというだけあって、絞り羽根枚数が11枚と豪華な仕様となっています。
手ブレ補正機能はありませんが、最近のソニーα9やα7シリーズには、ボディ内ブレ補正機能がありますので問題はありません。
特質すべきは、F1.4の大口径単焦点レンズながら重量が445g、フィルター径が67mmという点です。
付属品
レンズ本体・レンズフードの他に、箱、レンズケース、取扱説明書が付属します。
外観
FE 24mm F1.4 GMの左側にはフォーカスホールドとAF/MF切替スイッチがあります。ソニーのフォーカスホールドボタンはカスタマイズ設定可能なので、僕は瞳AF機能を割り当てています。
右側にはクリック切替スイッチがあります。このスイッチは絞りリングのクリック感をONにするかOFFにするかの切替が可能です。静止画撮影時はON、動画撮影時はOFFといった使い分けが一般的だと思います。
価格
描写性能チェック
解像性能
実際の写真を等倍で切り出して描画性能をチェックしてみます。
カメラはα7R IIIを使用して。クリエイティブスタイルは晴天で撮影しています。
24mm
開放値F1.4から画面センターと画面コーナー共に、優れた解像性能です。画面コーナーは周辺減光が見られますが、減光のみで解像は犠牲になっていません。
一段絞ってF2.0では、画面センターの解像感が増し、画面センターの解像感はピークになります。画面コーナーは、周辺減光が改善しているのが分かります。
F11まで絞っても、画面センターの解像性能は変わらず、F16まで絞ると少しソフトになりますが、十分実用の範囲です。
画面コーナーは、F2.8まで絞ると周辺減光は消えて、F5.6からF11までが解像のピークとなり、F16ではセンターと同様に少しソフトになります。
マクロ撮影
スペックでは、最短撮影距離が24cmとなっていますが、実測では最短撮影距離は23cmとなっていました。
ボケ表現
FE 24mm F1.4 GMのボケは、前ボケ・後ボケともにとても美しいボケ表現が可能です。F2.0、F2.8と絞ってもその傾向は変わりません。
逆光耐性
左下に太陽を入れて撮影しているので、対角線上である右上方向にゴーストが見られます。
開放F1.4では、ゴーストが全く出ていないわけではありませんが、拡大しなければ分からない程度です。
絞るにつれて、ゴーストが徐々にハッキリしてきて、F8くらいから目立つようになります。
ただし、F8から目立つと言っても、確認できるゴーストも小さいですし、変な色付きもないので、ゴーストに悩まされるということはないと思います。
光芒
後日追記予定です。
FE 24mm F1.4 GMの使用感
とろける様なボケ表現
FE 24mm F1.4 GMは、ソニーのGマスターシリーズレンズなので、解像性能が高いことはもはや当たり前ですが、このレンズはとろける様なボケも特徴です。
一般的に、広角レンズは望遠レンズに比べてボケにくいことが特徴ですが、このレンズはボケがキレイなので、ボケさせるために開放値で撮影したくなります。
ボケさせると被写体を浮かび上がらせる効果がありますが、背景の不要な情報を取り除くという効果もあります。
こちらの写真はカフェで撮影したものですが、背景にちょうど人がいる状態で撮影しています。プライバシーや肖像権の問題ももちろんありますが、人が映り込んでいると目立つのでなるべくなら映らないようにしたいところです。
フルサイズのF1.4でボケさせれば、背景に人がいたとしても、人の輪郭すら分からないように撮影が可能です。
開放F1.4の解像性能が抜群
開放F1.4の大口径単焦点レンズは、開放値の解像性能が劣るレンズが多い中、FE 24mm F1.4 GMは開放F1.4の解像性能も優れています。
特に広角レンズの周辺描写は緩いレンズが多い中、FE 24mm F1.4 GMは多少の周辺減光はあるものの、高い周辺の解像性能を有しています。
ボケがキレイであっても、開放F1.4の解像性能が劣っていたら、ここまで積極的に開放値で撮影しようと思わなかったかもしれません。
思った以上に逆光に強い
前評判では、FE 24mm F1.4 GMは逆光に弱い、むしろFE 24mm F1.4 GMの唯一の弱点は逆光耐性のみである、といったクチコミを見たことがあります。
僕が実際に使用した印象では、逆光に弱いどころか逆光に強いレンズという印象でした。
もしかしたら特定の条件で派手なゴーストが出るのかもしれませんが、僕自信はまだ経験したことはありません。
実際に使用してみないと分からないものですね。
意外と寄れる
最短撮影距離 | 最大撮影倍率 | |
FE 24mm F1.4 GM | 23 cm | 0.17 倍 |
FE 16-35mm F2.8 GM | 28 cm | 0.19 倍 |
FE 16-35mm F4 ZA OSS | 28 cm | 0.19 倍 |
ソニーの広角レンズFE 16-35mm F2.8 GMやFE 16-35mm F4 ZA OSSと比べて、最短撮影距離が短くなっていることが特徴です。
広角単焦点レンズは寄れないとテーブルフォトがしにくいなど使い勝手が悪いレンズとなっていしまいますが、FE 24mm F1.4 GMは寄れるレンズとなっています。
小型軽量なのがうれしい
僕の愛用レンズはFE 24-105mm F4 G OSSですが、唯一の弱点は少し大きくて重いことです。もう少し小型で軽量だったらと良く思います。
普段FE 24-105mm F4 G OSSを使用していることもあって、FE 24mm F1.4 GMはかなり小型で軽量に感じます。
僕が求めていたのはこのくらいの大きさと重さなんだ、と思いましたね。
他社の24mm F1.4と比べても小型軽量
レンズ名 | 大きさ | 重さ | フィルター径 |
ソニー FE 24mm F1.4 GM | 75.4×92.4 mm | 445 g | 67 mm |
キヤノン EF24mm F1.4L II USM | 83.5×86.9 mm | 650 g | 77 mm |
ニコン AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED | 83×88.5 mm | 620 g | 77 mm |
シグマ 24mm F1.4 DG HSM (ソニー用) | 85×116.2 mm | 760 g | 77 mm |
また、他社の24mm F1.4と比較しても、FE 24mm F1.4 GMは小型軽量です。
フィルター径が67mmであるようにFE 24mm GMだけひと周り以上、小型で軽量です。にもかかわらず、描写性能も優れているのがFE 24mm F1.4 GMの特徴ですね。
その他の項目やMTFの比較はこちらの記事をご覧ください。
絞りリングが使いやすい
AFのレンズで絞りリングがあるレンズは珍しいと思います。
MF専用レンズ以外で絞りリングを使用したことはあまりありませんが、折角絞りリングが付いているので使ってみたら、コレ良いですね。
現在のF値がいくつなのか、より意識できるようになります。
絞りリングをAに設定することで、他のレンズのようにボディ側ホイールでもF値を設定できますが、知らない間に絞りリングが回転してAではなくなっていることがあります。
その場合、ボディ側のホイールを操作してもF値が変わらないので気付くわけです。
それだったらいっそのこと絞りリングでF値を設定してしまおう、と考えを変えたら、むしろ絞りリングが使いやすいということに気付きました。
ボディに取り付けるとカッコイイ
一言でカッコいい。恐らく、ボディとレンズのバランスが良いのだと思います。α7シリーズとFE 24mm F1.4 GMはベストバランスですね。
α7シリーズにFE 24mm F1.4 GMを装着すると、レンズフードのためレンズが少し上を向きます。底面プレート(僕はReally Right Stuffの底面プレートを使用)を装着すると、おおよそレンズが前を向きます。
α9用となっていますが、α7 IIIとα7R III用が兼用です。
レンズフードまで抜かりない
付属のレンズフードの内側は、反射防止のため内側が布地となっています。
汚れやすかったり、ホコリがつきやすかったりしますので、好き好きかもしれませんが、流石G Masterレンズ、手が込んでいるなと思いました。
α7R IIIと相性が良い
高画素機であるα7R IIIであれば、積極的にクロップが使用できます。
1.5倍クロップで約1800万画素、約2倍クロップで約1000万画素となりますが、通常サイズの印刷やWEB閲覧程度でしたら1000万画素もあれば十分です。
1.5倍クロップは、カスタムキー設定をすればボタン一つで1.5倍クロップに切替が可能なので便利です。
ソニー FE 24mm F1.4 GMまとめ
今回は、ソニーから発売されているFE 24mm F1.4 GMのレビューを書いてみました。
広角単焦点だし使いどころは限られるだろうなと思っていましたが、実際に使ってみると想像以上に使いやすくて、最近のお写んぽではこのレンズばかり使用しています。
改めて、軽量でコンパクトなレンズがこんなにも使いやすいと感じました。もちろん描画性能は折り紙付きです。
サジタルコマ収差も良好に抑えられるよう設計されているので、コマ収差については別の機会に検証してみたいと思います。