ソニーEマウントの標準ズームレンズの中でも特に人気の高いレンズがFE 24-105mm F4 G OSS (SEL24105G) です。
広角端24mmがケラレるという噂がありますので、本当にケラレるのかどうか検証してみたいと思います。
ソニーのF4通し標準ズームレンズであるFE 24-105mm F4 G OSSは少し大きいことを除けば、まさに万能レンズだと思います。僕もお気に入りのレンズです。

そんなお気に入りレンズにも、ひとつの噂があります。
FE 24-105mm F4 G OSSの広角端はケラレる
FE 24-105mm F4 G OSSを今まで使用してきて実利用上は全く問題ないと思っていましたが、先日書いたNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sの歪曲収差と周辺減光の記事が思いの他反響が大きく、今回FE 24-105mm F4 G OSSについてもチェックしてみることにしました。
NIKKOR Z 14-30mm f/4 Sの記事について気になる方はこちらをご覧ください。

ケラレるとは?
一般的にケラレとは、必要とされる画角に対して、イメージサークルが足りず、写真の四隅が黒く映ってしまう現象です。
例えば、APS-C専用レンズをフルサイズカメラに装着したときに見られます。(通常は自動でクロップしてくれるカメラが多いので意識することは少ないかもしれません)
あるいは、レンズフィルターが厚くて撮影エリアに写り込んでしまうことでも四隅が黒く映ってしまいます。(薄型と記載のあるレンズフィルターであればほとんど問題となることはありません)
FE 24-105mm F4 G OSS(SEL24105G)の広角端はケラレるか?
レンズレビューで有名なOpticalLimitsでもFE 24-105mm F4 G OSSは大きな周辺減光が測定されているようです。
実際はどうなっているのか気になるので、早速ですが見てみましょう。
F4で比較してみる
24mmで撮影したものをLightroomでレンズプロファイル適応をオンにしたものと、オフにしたもので並べてみます。

FE 24-105mm F4 G OSS@F4のレンズプロファイルオン

FE 24-105mm F4 G OSS@F4のレンズプロファイルオフ
レンズプロファイルをオンすると問題はありませんが、オフにすると四隅が黒くなっていますね。樽型の歪曲収差も目に付きます。

FE 24-105mm F4 G OSS@F4のレンズプロファイルオフ時の四隅

Lightroomで持ち上げてみる
四隅を目一杯持ち上げてみると、かろうじてディティールが残っていることも確認できます。完全に真っ黒というわけではなさそうです。
F5.6とF8と絞ってみる

FE 24-105mm F4 G OSS@F5.6のレンズプロファイルオン

FE 24-105mm F4 G OSS@F5.6のレンズプロファイルオフ

FE 24-105mm F4 G OSS@F8のレンズプロファイルオン

FE 24-105mm F4 G OSS@F8のレンズプロファイルオフ
四隅が小さくて分かりづらいかも知れませんが、四隅の黒い部分は絞っていってもほとんど改善はしません。通常の周辺減光なら絞れば改善しますが、これは改善しないので周辺減光とは違った現象のようですね。いわゆるケラレている可能性が高いのではないでしょうか。
一方で、レンズプロファイルをオンにしたJPEG撮って出しの画像ではいずれの画像でもケラレは見られません。
比較的大きな樽型の歪曲なので、歪曲収差補正されるとストレッチされて四隅の切り取られているのだと思われます。
歪曲収差補正されても24mmの画角を保持しているか?
レンズプロファイルをオフにした状態でケラレているとしても、レンズプロファイルをオンにして歪曲収差補正をした状態でケラレていなければ問題ないと思う方も多いのではないでしょうか。僕もその考えに全面的に賛成です。
そこで疑問があります。
歪曲収差補正を行い、樽型の歪曲を真っ直ぐにした状態の画像って24mmの画角をカバーしているのでしょうか。歪曲収差補正を行った状態で25mmや26mmの画角しかカバーしていないのでしたら、24mmからカバーしているというレンズスペック自体が嘘になってしまいますからね。
ちなみに、FE 24-105mm F4 G OSSを少しズーミングして25mmにすると、四隅の真っ黒い部分はかなりすっきりします。

FE 24-105mm F4 G OSS@25mmのレンズプロファイルオフ

FE 24-105mm F4 G OSS@25mmのレンズプロファイルオン
リファレンスレンズとしてFE 24mm F1.4 GMを選択
話を戻して、FE 24-105mm F4 G OSSの歪曲収差補正後の24mmが本当に24mmの画角をカバーしているかを調べるために、リファレンスとなるレンズが必要となります。
つまり、このレンズの24mmの画角は信用できるというレンズを用意して、その画像と比較するわけです。
単焦点レンズはズームレンズよりは歪曲収差が少なく、画角が信用できるであろうと思いますので、今回はFE 24mm F1.4 GMと比較してみることにします。

FE 24mm F1.4 GMはほんの少しだけ糸巻き型の歪曲収差が見られますが、補正しなくとも良いくらいの微々たるものです。もちろん補正すれば真っ直ぐになります。

FE 24mm F1.4 GM@F4のレンズプロファイルオン

FE 24mm F1.4 GM@F4のレンズプロファイルオフ
FE 24-105mm F4 G OSSとFE 24mm F1.4 GMの歪曲収差補正後の比較
24mmの画角確認のためのリファレンスレンズとしてFE 24mm F1.4 GMを選択しましたので、FE 24-105mm F4 G OSSの24mmの歪曲収差補正後(レンズプロファイルオン)と比較してみます。

FE 24-105mm F4 G OSS@F4のレンズプロファイルオン

FE 24mm F1.4 GM@F4のレンズプロファイルオン
いかがでしょうか。撮影エリアはほぼ同じとなっているのが確認できると思います。
Lightroom標準のレンズプロファイルでは、ほんの少しだけFE 24-105mm F4 G OSSに樽型の歪曲が見られますが、撮影エリアもほんの少しだけ広いので、歪曲収差補正を手動で補正してもFE 24mm F1.4 GMと同程度と言えるのではないでしょうか。
つまり、FE 24mm F1.4 GMの画角を信用するのであれば、FE 24-105mm F4 G OSSの広角端は24mmの画角をカバーしていると言えると思います。
以上の結果をまとめてみると
- FE 24-105mm F4 G OSSは電子補正前提のレンズ
- ケラレている四隅は24mm画角の範囲外のため問題なし
- 歪曲収差補正を行っても24mmの画角はカバーしている
ある意味当然の結果となりましたね。歪曲収差補正後に24mmの画角ギリギリとなる設計をするソニーもやりおるなと思いました。
ソニー FE 24-105mm F4 G OSSはケラレるか? まとめ
FE 24-105mm F4 G OSSの広角端24mmがケラレるかを検証してみました。ケラレるかケラレないかで言えばケラレている可能性が高いですが、このケラレは全く問題のないケラレだということがわかりました。
以前プロファイル適応前の画像を調べてみたNIKKOR Z 14-30mm f/4 Sも電子補正前提のレンズでしたが、今後ミラーレスカメラ用レンズは電子補正前提のレンズが多くなってきそうですね。

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