今ネットで、ソニーα7 IIIを使用していると、突然SDカードのデータが消失する、あるいは勝手にフォーマットされるというというクチコミを見かけます。
僕も同クチコミは当初から認識していましたが、段々と声が大きくなってきたように思いますので、このブログでも取り上げてみたいと思います。
まずは、僕がデータが消失したことがあるか、ですが、
僕は、スマホはXperia、コンデジはソニーRX100シリーズ、一眼はソニーα7 III含めてα7シリーズをずっと使用していますが、
データが消失したことは一度もありません。
ましてや、
勝手にフォーマットされるなんてことはありません。
α7 IIIは僕自身使用してみてとってもオススメできるカメラです。
今回の記事は、Youtubeの動画内容を元にした僕の考察です。出来るだけ論理立てて今回の事象を説明しようと心がけていますが、もしかしたら間違っている内容もあるかもしれません。
そんな前提で読んでいただけると幸いです。
【12/5追記】
サンセットスタジオのナカモトダイスケ氏本人より『勝手にフォーマットはありえない』とのコメントを頂きました。
騒ぎの発端は、サンセットスタジオの動画
サンセットスタジオという沖縄を拠点に活動しているカメラ集団のナカモトダイスケ氏が、ソニーα7 IIIを使用していてフリーズした、カメラが故障した、フォーマットした、撮影データが消失した、という趣旨の動画を立て続けにYoutubeに投稿しました。
サンセットスタジオは僕も以前から知っており、時々動画を見ていました。ここ一年くらいでニコンからソニーにマウント替えして、そのレビュー動画などを多数投稿されている印象です。
動画を見ている限りでは、ソニーα7シリーズの性能の良さに満足されているようでした。
しかしながら、事の発端からソニー不具合の動画が続くようになりました。
不具合発生時の状況は?
ナカモトダイスケ氏が動画の中で言っている不具合発生時の状況は次の通りです。
- レンズはタムロン28-75mm F/2.8 Di III RXDを使用していた
- ブライダル撮影中にカメラが突然フリーズ
- 操作を受け付けなくなったので、電源をオンオフしたり、バッテリーを抜いた
- 電源を入れたらスロット1とスロット2の両方のSDカードが同時にカメラで見られなくなった
- 一回目は、パソコンの復旧ソフトで処理したら撮影データは無事だった
- 二回目は、管理ファイルが壊れていますとカメラ上で表示されたがパソコンでは正常に表示された
- バッテリーはソニー純正バッテリーを使用している
- SDカードはサンディスク製を使用している
ソニーに調べてもらったところ、ボディの不具合は見つからず、ソニー製のSDカードを使用するように言われた、とのこと。
仕事で結婚式を撮影中に、スロット1とスロット2両方の撮影データが危うく消失しかけたので、ナカモトダイスケ氏はかなりお怒りだったようです。
結婚式というやり直した出来ない撮影で、バックアップ用のスロット2まで消えたら、万事休すですからね。下手したら賠償金ものです。
ナカモトダイスケ氏もソニーのカメラに何かしらの不具合があるのではないかと疑っているようです。少なくとも、スロット1とスロット2の両方のデータが同時に消失したのでカメラ側の不具合の可能性が高いというい考えを持たれているようでした。
状況証拠から考える考察
SDカードが正規品かどうかは不明
バッテリーは純正を使用していたと言及していましたが、SDカードは正規品を使用していたかは言及されていません。
サンディスクのSDカードの場合、正規品と海外並行輸入品の価格差が大きいため、海外並行輸入品を使用している方も多いと思います。
海外並行輸入品の場合、もちろんメーカーは動作保証はしていませんし、最悪偽物である可能性もあります。
一回目の原因は電源オンの状態でバッテリーを抜いたから
デスクトップ型パソコンなどでもそうですが、データ書き込み中に電源が落ちると、データは破損したり、最悪ハードディスクが壊れてしまいます。
ナカモトダイスケ氏は、操作を受け付けなくなってバッテリーを抜いたと言っているので、恐らく電源オンのままバッテリーを抜いたと考えることが出来ます。バッテリーを抜く際にSDカードが何かしらの処理をしていたとすると、データが破損した可能性が高いと考えられます。
スロット1とスロット2を使用していたことから、同時書き込みをしていたでしょうから、バッテリーを抜いた際に、スロット1とスロット2の両方データが同時に破損した可能性は高いと言えます。
一回目はSDカードの撮影データが完全に消えたわけではない
パソコンの復旧ソフトで復旧したころから考えて、データが完全に消えたわけではありません。
僕も経験がありますが、一部のデータが破損しただけで、記憶媒体全部のデータが読み込み不可になることがあります。
二回目は、管理ファイルが破損しただけ
ソニーのカメラを使いこんでいる方ならわかると思いますが、ごくたまに管理ファイルが破損します。管理ファイルは恐らく撮影のメタデータのことで、写真ファイルとは全く別のファイルです。
破損というと恐ろしいことのように聞こえますが、管理ファイルは問題なく修復できます。さらに管理ファイルが破損したとしてもカメラから写真にアクセスできなくなるだけで、写真データ自体は無事であるため、パソコンからは問題なく読み込み可能です。
ナカモトダイスケ氏は、今年に入ってからソニーα7シリーズを使用しており、今回が初めての管理ファイル破損だったようですね。動画内でも管理ファイル破損を写真データが飛んだと勘違いされているようでした。
また、ツイッターを見ている限りでは、管理ファイルの破損と修復の過程のことをフォーマットと勘違いされている方も見受けられました。
整理すると
一回目の事象は、電源オンの状態でバッテリーを抜いたため(あるいは電源オンオフを何度もしたため)、一部データが破損した、ということになります。
二回目の事象は、電源オンの状態でバッテリーを抜いたため(あるいは電源オンオフを何度もしたため)、管理ファイル破損した、ということになります。
勝手にフォーマットされるは言い過ぎ
フォーマットされるという発言は、もうひとつの動画にて確認ができます。
冒頭に上げた動画の内容のうち、一回目のフリーズの際の事象を語っており、2:06付近でナカモトダイスケ氏が電源を入れ時にフォーマットされたと発言されています。
フォーマットとは、初期化のことを指します。データが破損することとは全く異なる事象です。それを勝手にフォーマットしたと表現するのは、かなり言い過ぎなような気がします。
ナカモトダイスケ氏はソニーの人気を下げようという意図はないかもしれませんが、ナカモトダイスケ氏の動画を引用したブログや口コミの一部では、ソニーの人気を下げようとわざと誤解させるような書き方をしているブログやユーザーもネット上には見受けられます。
そんなこんなで、ネット上は勝手にフォーマットという言葉だけが独り歩きしてしまっていると感じます。
なぜフリーズした原因が重要
僕の考察が正しければ、データが破損したことは当然の結果と言えるので、あまり問題にはなりません。
今回の事象で注目すべきは、なぜフリーズしたかという点です。
ナカモトダイスケ氏の動画の内容からの考察なので、想像の域は出ませんが、僕が考えられる原因は次の通りです。
ボディとレンズの接触不良が原因?
ボディのマウント部とレンズのマウント部には通信用の端子が並んでいます。長年カメラを触られた方なら経験あると思いますが、この端子が汚れていると接触不良でカメラがレンズを認識しなかったりします。
僕も以前、FE 24-105mm F4 G OSSでシャッターが切れずに、フリーズに似たような感じになったことがあります。
マウント部の端子が汚れていると正常に動作しないことがあるということが頭にありましたので、いったんレンズを取り外して軽く端子部を拭いてから装着し直したところ、正常に動作するようになりました。
ナカモトダイスケ氏のカメラでもマウント端子部の接触不良の可能性はゼロとは言えないかもしれません。
タムロン製レンズが原因?
上の例でもそうですが、マウントの端子部ではカメラ本体とレンズ間で非常に高速な通信を行っています。
ソニーEマウントは、マウント情報を公開していると言われていますが、異なるメーカー間ではやはり互換性の問題で、何かしらの不具合が発生してしまう可能性があります。
例えば、タムロンの同レンズは、発売開始後に不具合が見つかり、メーカーからファームウェアアップデートがなされました。
レンズが原因あるいはレンズとボディの相性で、カメラがフリーズしてしまったのかもしれません。
現に、ナカモトダイスケ氏の使用していたタムロン 28-75mm F/2.8 Di III RXDは故障のため、メーカー修理となったレンズのようです。
サンディスクのSDカードが原因?
ナカモトダイスケ氏がサンディスクのSDカードを、正規品でなく海外並行輸入品を使用していたのであれば、最悪の場合偽物の可能性もあるSDカード使用していたことになるため、ナカモトダイスケ氏の考えが甘かったと言わざるを得ません。
ただし、正規品か海外並行輸入品か言及はされていないので、そのあたりは良く分かりません。
一方で、仮に正規品を使用していたとしても、やはり異なるメーカー間の製品なので、100%互換性があるとは言えないと思います。
現に、ソニーはこれらの事象に対し、ソニー製のSDカードを使用するように言っています。
サンディスクはシェア一位なのだから、サンディスクと互換性を認めるのが普通と思う方もいるかもしれませんが、自社で設計生産していない商品についてまで動作保証をするのは、むしろおかしな事です。
サンディスクが不具合確認
と、記事を書き進めていましたら、やはり相性問題があるようです。
α7 IIIとα7R IIIでは、サンディスクのExtreme PRO(並行輸入品)で相性問題があり、サンディスクが設計不良の非を認めたというものです。
これって正直なところ、氷山の一角だと思います。
様々なカメラやSDカードの組み合わせで、相性問題は存在するはずです。
ソニーは、ソニー製SDカードを出しているわけですので、互換性でメーカーの動作保証が欲しいのであれば、ソニー製SDカードを使用することをオススメします。
異なるメーカーを組み合わせるのであれば、ソニーの言うように、あくまで自己責任で。
ナカモトダイスケ氏が使用していたSDカードがこの不具合に該当しているかどうかは定かではありませんが、もしこの不具合に該当していて重大な内容の不具合が発生していたのであれば、ナカモトダイスケ氏がいうように実際にフォーマットがされたのかもしれませんね。
カメラに障害を及ぼすような不具合であれば、カメラとしては強制的にフォーマットしようとするのが普通です。そうしないと最悪カメラが壊れてしまいます。
そのような障害時に保護するようなプログラムをあらかじめ設計時に仕込んでおくことをフェースセーフといいます。
SDカードの不具合で、カメラのフェールセーフ機能が働いた、という可能性もゼロではないかもしれませんね。(お問い合わせフォームよりフェースセーフとなっているとご指摘いただいたので修正しています。cumaさんありがとうございました!単純なタイポですが、強調している部分を間違えているとなんだか恥ずかしいですね)
ネットの情報は間違っている可能性もある
上のキャプチャは、冒頭の動画の8:10あたりを切り抜いたものです。
ナカモトダイスケ氏が、管理ファイル修復機能に関する取扱説明書の内容に注目している場面です。
動画キャプチャ左上のマニュアル引用には、下記のような内容が記載されています。
[管理ファイル修復] を行ってもメモリーカード内の写真や動画のデータは消えません。
ただし、残量の少ないバッテリーを使用して行うと、データを破損するおそれがあります。十分に充電したバッテリーをお使いください。
管理ファイル修復機能を使用している際に、バッテリーがゼロになると修復が中断されて、データ自体を破損してしまう可能性があるので、十分に残量があるバッテリーを用いて管理ファイル修復機能を実施してください、という趣旨の内容です。
みなさん、問題なく理解できると思います。
では、ナカモトダイスケ氏の動画では、
ソニーのカメラはバッテリー残量が少ない状態で写真撮影するとデータが破損してしまう。
と解釈されており、これについては誤った解釈である可能性が高いと思います。
データが破損しただけなのにフォーマットされた、管理ファイルが破損しただけなのにデータが飛んだ、バッテリーが少ないとデータが破損すると、動画には誤っている可能性が高い内容も含まれています。
だから、ナカモトダイスケ氏がどうこうということではなく、ただ動画を見られた方が誤解されないように注意していただければと思い、最後にこの誤っているかもしれない情報について書いてみました。
このブログも、もしかしたら間違いだらけかもしれませんし、みなさんネットの情報をそのまま鵜呑みにするのではなく、ぜひともご自身で真偽を判断しながら、インターネットをご楽しんでいただければと思います。
ソニーα7 IIIの勝手にフォーマットされる?まとめ
今回は、一部で話題となっているソニーα7 IIIで勝手にフォーマットされるのか?という事象について、僕なりの考えを書いてみました。
今年に入ってソニーα7 IIIは絶好調なので、こういった事象は、他社ユーザーからの標的になりやすいこともあり、ここまでの話題になっている気がします。
ここまで話題になる以前にナカモトナカモト氏の動画を見たときは、電源オンのままバッテリーを抜いたらデータが破損して当然だよね、くらいの感覚で見ていました。
しかしながら、いちソニーユーザーとして、ちょっと見過ごせないくらいになってきたので、今回記事にしました。
実際のところは、現在ソニーが原因究明中ということで、メーカー発表を待つしかありません。
僕のソニーα7R IIIは、全くもって正常なので、不安は全然ありません。
続報を待ちたいと思います。
【12/5追記】
サンセットスタジオのナカモトダイスケ氏本人より『勝手にフォーマットはありえない』とのコメントを頂きました。