ドイツのケルンで開催されていたフォトキナ2018にて、残念ながらソニーは新しいカメラやレンズの発表はありませんでしたが、それ以上にインパクトのある瞳AFの動物対応とレンズ拡充の予告を行いました。今回は瞳AFの動物対応について、僕なりの予想をしてみたいと思います。
フォトキナ2018で予告された内容とは
デジカメ Watchでも紹介されていますが、フォトキナ2018でソニーは下記の2つの予告をしました。
- 瞳AFの動物対応 来年初頭提供予定
- EマウントレンズはAPS-Cも含めて現在48本、今後60本まで増やす予定
瞳AFの動物対応は、あったら良いなとみなさん妄想していたと思いますが、まさか本当に実現する日が来ようとは思いしませんでした。僕も以前、ケニアで野生動物を撮影しましたが、野生動物を相手に眼にピントを合わせるのは至難の業なので、瞳AFの動物対応は素直にうれしいです。
瞳AFが動物対応になるとそんなに良いの?
ケニアでの野生動物撮影を経験して
上の写真はケニアのサファリで遭遇した『豹』です。(ちなみに豹は一週間滞在してお目にかかれるかどうかとう激レア動物だそうです)
突然現れて去って行ったので、カメラの設定をしている時間なんてありません。ピントが背景に抜けないように、手前の草木にピントが行かないように気をつけながら、体のどこでも良いからピントが合ってくれと願いながらひたすら連射する感じです。結果は神のみぞ知る。
顔にピントを合わせる余裕がないので、被写界深度を少しでも深くするために絞って撮影するため、iso感度もすぐに上がってしまいます。
もし瞳AFが動物対応してくれれば、フレミーングするだけで、自動で眼にAFして撮影が出来る、なんて素晴らしいことでしょうか!
もちろんペットにも
野生動物だけでなく、家で飼っている犬やネコなどのペットにも有効ですよね。明るい単焦点レンズで撮影する場合、被写界深度が非常に浅くなりますが、犬やネコの高い鼻を避けて眼にピントを合わせるのは結構難しいです。ソニーαシリーズなら、フレキシブルスポットSをジョイスティックでAFポイントを眼に移動して、とカメラを操作している間にペットが動いて、、、みたいなことの繰り返しです。
動物対応瞳AFなら、動き回るペットの眼にもカメラを向けるだけでピントが合ってくれるはずです。凄く撮影が楽になると思います。
瞳AFの動物対応の機種は?
瞳AFの動物対応が現行機種にも提供されるのか、あるいは今後発売される機種のみに提供されるのか、現時点でソニーからアナウンスはありません。そこで、今現在得られる情報から予想してみたいと思います。
まずは現行機種の瞳AF対応について
2013年以降に発売されたソニーαシリーズの瞳AF対応と瞳AFのコンティニュアスAF(AF-C)対応をまとめていました。
フルサイズ
発売日 | 瞳AF | AF-C対応 | |
α7 ILCE-7 | 2013年11月15日 | ○ | |
α7R ILCE-7R | 2013年11月15日 | ○ | |
α7S ILCE-7S | 2014年 6月20日 | ○ | |
α7 II ILCE-7M3 | 2014年12月 5日 | ○ | |
α7R II ILCE-7RM2 | 2015年 8月 7日 | ○ | ○ |
α7S II ILCE-7SM2 | 2015年10月16日 | ○ | ○ |
α9 ILCE-9 | 2017年 5月26日 | ○ | ○ |
α7R III ILCE-7RM3 | 2017年11月25日 | ○ | ○ |
α7 III ILCE-7M3 | 2018年 3月23日 | ○ | ○ |
瞳AFはαシリーズのフルサイズカメラ全機種に搭載されています。瞳AFがコンティニュアスAF対応したのは2015年以降に発売した機種からですね。ちなみに2015年以前に発売された機種は瞳AFのコンティニュアスAF対応しておらず、2018年10月現在でもファームウェアアップデートでの対応予定はありません。
APS-C
発売日 | 瞳AF | AF-C対応 | |
α6000 ILCE-6000 | 2014年 3月14日 | ○ | |
α5100 ILCE-5100 | 2014年 9月 5日 | ○ | |
α6300 ILCE-6300 | 2016年 3月11日 | ○ | ○ |
α6500 ILCE-6500 | 2016年12月 2日 | ○ | ○ |
こちらもαシリーズのAPS-Cカメラ全機種に瞳AFが搭載されています。瞳AFがコンティニュアスAF対応したのは2016年以降に発売した機種からですね(2015年にはAPS-Cカメラは発売されていない)。また、2015年以前に発売された機種は瞳AFのコンティニュアスAF対応しておらず、2018年10月現在でもファームウェアアップデートでの対応予定はありません。
それにしてもα6300発売から後継機種のα6500発売までの期間が6か月と短いのが印象的ですね。α6500はしばらく出ないだろうと思ってα6300を購入した人はご愁傷様です。
まとめると
フルサイズとAPS-C共にカメラのグレードや価格に関係なく、瞳AFは実装されているようです。また、瞳AFのコンティニュアスAF対応は2015年以降の全ての機種に実装されていることが分かります。
現行機種にも実装される?
”2019年頭に提供予定”と予告されているので、2019年以降に発売される機種については、もちろん動物対応瞳AF機能が搭載されると思います。みなさんの最大の関心事項は、現行機種にファームウェアアップデートで動物対応瞳AFが提供されるかどうか、だと思います。
仮に現行機種に提供されないとしたら、”2019年頭に提供予定”という予告とは、『2019年頭に発売する機種に搭載するよ』と解釈できます。
では、2019年頭に発売される機種の候補があるのでしょうか。
現在噂程度にはなりますが、ソニーから今後発売するカメラとしていくつかの機種の名前がネット上に挙がっています。
- α7S III
- α5
- α9 II
- α6700(あるいはα7000)
α7S III
2015年10月に発売されたα7S IIの後継機種です。詳しいスペックの発表はありませんが、4K60P対応など動画機能が強化された機種になると予想されています。α7Sシリーズは1200万画素の低画素高感度特化モデルとしてラインナップされていますが、今後動画業界が6K、8Kなどを見越しているとすると1200万画素では画素数的には足りません。4K60P対応、10bit対応などの他にセンサーがどうなるかも大注目の機種です。
α7S IIIが2019年頭までに発売する確立はかなり高いと思われます。すでに開発は終わっていて発売時期を見定めているとの情報もあります。したがって、α7S IIIが発売されるとすると時期的に見ても動物対応瞳AFが実装される可能性が高いと思われます。
ここで問題なのが、α7S IIIはソニーαシリーズの第三世代(α7 III, α7R III + α9)に属していることです。第三世代でα7S IIIにだけ動物対応瞳AFが実装されることは考えられませんので、この場合は、α7 III, α7R III, α9にもファームウェアアップデートで動物対応瞳AFが実装されることでしょう。ぜひそうあって欲しいですね。
α5
現在のα7シリーズの廉価版として、α5シリーズがラインナップされるという噂があります。廉価版であるα5が2019年頭に発売して、動物対応瞳AFが実装されたとしたら、α7シリーズやα9ユーザーはどう思うでしょうか。
その場合も当然のことながら、α7シリーズやα9にもファームウェアアップデートで動物対応瞳AFが実装される可能性が高いはずです。第三世代は確実としても、第二世代(α7 II, α7R II, α7S II)も対象となるかはちょっと微妙かもしれませんね。
α9 II
2017年5月に発売されたα9の後継機種です。α9の特徴としてブラックアウトフリーの高速連射が可能なので、スポーツ撮影に適しており、2020年東京オリンピックでも活躍が予想されるカメラのひとつです。東京オリンピックは、メーカーとしても格好のPRの場ということもあり、東京オリンピック前に後継機種が出る可能性は高いです。初期不良や初期のバグフィックスを考えると、2019年の夏ごろまでには発売されるのではと個人的には思っています。
現時点で、ほとんど噂も出回っていないため、2019年夏ごろまでに発売はされるかもしれませんが、2019年頭までに発売される確立はとても低いと思われます。したがって、”2019年頭に提供予定”の機種にα9 IIは当てはまらないと言えます。
α6700(あるいはα7000)
α6000シリーズの最新機種の近日中の発売も予想されています。α9並の高速連射が可能な機種になるというのが大方の予想です。さらに、α6000シリーズにファインダーが付いたような機種になるという予想が多数されており、α6000シリーズの後継機種としてα6700とするか、あるいは別ラインナップとしてα7000とするか、の二通りの見方があります。α9並の高速連射機種ということでベビーα9やミニα9なんて呼ばれ方もされていますね。
α6700(α7000)は高速連射機種になるとすると、野生動物撮影にも適したカメラになるため、動物対応瞳AFが実装されてもおかしくはありません。ベビーα9のα6700(α7000)が動物対応瞳AFが実装されたのに、お父さんα9が動物対応瞳AFが非対応なのでは、お父さんの立場がありませんよね。この場合も、やはりα9にもファームウェアアップデートで動物対応瞳AFが提供されることでしょう。あわせてα7 IIIとα7R IIIにも提供されるはずです。ソニーで現在売れに売れている両機種なので、ソニーも自分の首を絞めることはしないはずです。(α7 IIIとα7R IIIに提供されないことが確定してしまうと売れ線である両機種が売れなくなってしまう)
まとめると
”2019年頭に提供予定”という予告と今後発売される予定の機種の両側面から考えると、α7 III、α7R III、α9にもファームウェアアップデートで動物対応瞳AFが提供される可能性が高い、と僕は予想しています。(というか、そうであって欲しい)
みなさんはどう予想しますか?
瞳AFの動物対応の対象動物は?
どの機種に動物対応瞳AFが提供されるのかがみなさんの最大の関心事だと思いますが、次に関心があると思われるのが『対象の動物は何?』だと思います。
ペットとして大多数を占めている犬とネコは当確だとして、あと数種類かの動物(サルとか馬とか牛とか)が対象になるだろう、というのが多くの方がの考えることだと思います。
フォトキナ2018でのイメージ映像では
フォトキナ2018でのソニーが発表したプレゼンには、ネコ(猫科の何かは分からない)、キツネ、フクロウ、ライオンの瞳にAFしているイメージが映像が流れました。また、AI技術により、人間の瞳の追従性も向上するそうです。
あと、3ヶ月ほどで提供が開始される機能のイメージ映像に出てきたのですから、ネコ、キツネ、フクロウ、ライオンは動物対応瞳AFの対象動物になっているのだと思います。でも、ネコ、キツネ、ライオンは採用されてもおかしくはありませんが、フクロウに違和感を覚えませんか?
僕がソニーの社員だったら、フクロウを対象に選ぶか?フクロウならまだシマエナガの方が需要ありそうな気が。
僕はこう考えました
AI技術の一種であるディープラーニングで、カメラに動物を覚えこませれば、いかなる動物であったも認識できるようになるはず、と。
ディープラーニングは、教師データという参考となる画像をカメラに覚えこませて、カメラが自動でその動物を判別できるようになる技術です。実はこの技術、現在のαシリーズにも実装されているんです。(ディープラーニングは本来膨大なデータを教える必要がありますので、αシリーズの機能は簡易版ですね)
αシリーズは人の顔を認識できますが、複数人画面にいる場合に、どの人に優先してAFするか予め決めることが出来ます。
撮影した個人の顔を最大8人分カメラに登録可能で、優先順位付けもすることができます。
[個人顔登録]で優先順位を設定している場合、被写体の中で一番優先順位が高い顔が自動で選択され顔検出枠が白色になります。それ以外の登録されている顔の検出枠は赤紫色になります。
ソニー瞳AFの動物対応予想のまとめ
今回はフォトキナ2018でソニーから予告があった、瞳AFの動物対応について、今後発売が予想されている機種の情報や現在の機能などを参考に、どのような機能になるか僕なりに予想してみました。
現在の瞳AFはソニーのミラーレスカメラを『ゲームチェンジャー』とまで言わしめたほど、他社に比べて高性能だと言われています。今回の瞳AFの動物対応も再度『ゲームチェンジャー』と言われるかもしれないほどの破壊力を持っていると予想できます。
動物対応瞳AFが使いたかったらソニーを選んだという人が今後増えると、すでにソニーを使用している僕としてはうれしいですね。
フォトキナ2018では、瞳AFの動物対応以外にレンズの拡充も予告されました。そちらも僕なりの予想をしてみる記事を書きたいと思いますので、関心のある方はご期待いただければと思います。
【2019/1/16 追記】動物瞳AFについてソニーから正式なアナウンスがありました。