海外サイトにて、キヤノンEOS RとニコンZ7のリードノイズ測定結果が公表されたので、ソニーα7 IIIおよびα7R IIIと比較してみたいところですが、そのまま比較したのでは意味がないので、今回は鑑賞サイズを揃えて比較してみたいと思います。
Photons to Photosで、センサーのリードノイズ測定データが公開されました。様々なサイトで引用され、EOS RとZ7、α7 III/α7R IIIなどと比較された記事が作成されています。
しかしながら、各カメラの画素数が全く異なるため、測定結果をそのまま比較してもあまり意味はありません。
ですので、今回は800万画素に揃えて、各カメラの高感度性能(ノイズ耐性)を比較してみたいと思います。(鑑賞サイズを揃えるときは800万画素が用いられることが多い)
新型ミラーレス用センサーは一眼レフ用センサーから進化したか?
まずは、新型ミラーレス用センサーであるEOS RとZ7が同社のフラッグシップモデルの一眼レフカメラ用センサーからどれくらい進化したか見てみたいと思います。
キヤノン EOS Rは5D mark IVから進化していない?
Photons to photosでは、ISO毎のセンサーリードノイズが対数としたグラフが掲載されています。iso設定が上がるほどノイズ量が多くなっていることが分かります。
キヤノンEOS Rと同社一眼レフカメラのフラッグシップモデルである5D mark IVは画素数が同じセンサーを採用しています。
キヤノンのサイトでは、新開発のフルサイズセンサーと書かれていますが、グラフを見る限りでは、残念ながらノイズ耐性は進化していないようですね。
ニコン Z7もD850から進化していない?
ニコン Z7も同社一眼レフカメラフラッグシップモデルであるD850と同じ画素数のセンサーを採用しています。
こちらもグラフを見る限りでは、ニコンZ7も同様にD850からノイズ耐性は進化していないようです。
一眼レフ用のセンサーにミラーレス用の像面位相差センサーを埋め込んだだけ、のようなセンサーのような気が何となくしますね。
ソニー α7 III / α7R IIIと比べてみると
そのままでは比較できない
このグラフだけ見ると、ソニー α7 III(2420万画素)やα7R III(4240万画素)がEOS R(3010万画素)やZ7(4575万画素)より優れているように見えますが、冒頭にお伝えした通り、各カメラの画素数が異なるため単純比較では意味がありません。(このグラフでは、α7 IIIが飛びぬけて高性能に見えますが、画素数が考慮されていない、つまりα7 IIIは他機種に比べて画素数が少ないためそう見える)
同メーカ間の比較の場合、キヤノン EOS Rと5D mark IV、ニコン Z7とD850はそれぞれ新型ミラーレスと一眼レフの画素数が同じであったため、単純比較することが出来ました。
同じように比較するためには、同じ鑑賞サイズ(画素数)に揃えて比較する必要があります。
なぜ、鑑賞サイズを揃える必要があるのかピンと来ない方もいるかもしれません。例えばですが、PC等で写真を拡大するとノイズが目につきますが、縮小した画像やスマホ等で見ると同じ画像なのにノイズが目立たない、といった経験はないでしょうか?
画素数が多い画像を縮小するとノイズが減る、ということです。
言い換えれば、同じくらいのノイズ量であっても画素数のカメラの方が高感度性能が優れている、という結果になります。
鑑賞サイズを揃えて比較するのが正解
異なる画素数のカメラを比較するのであれば、同じ鑑賞サイズに揃える必要があります。写真業界的には、800万画素に揃えるのが一般的なので、EOS RとZ7、α7 IIIやα7R IIIを800万画素相当に揃えてグラフを作成してみました。
先ほどのグラフでは、iso 100とiso 200ではα7 IIIが一番ノイズが少なかったですが、800万画素に揃えるとα7R IIIが一番ノイズが少ないというグラフになりました。
また、画素数が多いZ7はiso 100や200ではα7 III、α7R IIIに肉薄しており、iso 400では逆転しています。
EOS Rは、低感度ではそれほどノイズ耐性の優位性はありませんが、高感度ではZ7と変わらないノイズ耐性を有しています。
ちなみに、Z7はiso 400で、α7 IIIとα7R IIIはiso 800でグラフが折れ曲がっていることに気づいたかと思いますが、これはデュアルコンバージョンゲインと呼ばれており、高感度撮影時にゲインを稼いでノイズ量を少なくする仕組みとなっているからです。
鑑賞サイズを揃える前に比べてニコン Z7との差は少なくなりましたが、鑑賞サイズを揃えてみても全体的にソニーα7 IIIとα7R IIIが良さそうですね。
高感度性能比較まとめ
今回はPhotons to Photosで公開されたセンサーリードノイズ測定データを元に、鑑賞サイズを800万画素に揃えて比較してみました。
EOS RとZ7は新たに開発されたミラーレス専用センサーだと言われていましたが、少なくともノイズ耐性の性能面では一眼レフから進化していないことが分かりました。
また、ソニーはセンサーを自社で生産しており、他社にも提供しているという意味では、センサーの性能面では優位性はしばらく揺るがなそうですね。
現時点でダイナミックレンジの測定データは公開されていませんが、リードノイズと相関性があるため同じような結果になるのではと想像しています。
カメラにとって、センサーが一番重要であることは変わりませんが、それ以外の部分も含めていずれ評価してみたいですね。