大口径マウント要らない説! レンズの後玉の直径から必要なマウント径を考えてみる

後玉の直径から考えるマウント径

キヤノンやニコンのミラーレスカメラのマウント径が大口径であったこともあり、大口径マウントは画質が良い、みたいな宗教が巷で流行っているようです。

今回は、レンズの後玉の大きさからどれくらいの大きさのマウント径があれば十分なのか考えてみたいと思います。

 

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大口径マウントって必要ですか?

大は小を兼ねるという諺もありますが、大きすぎるマウントはただのウドの大木ですよね。(大きすぎて役に立たないという意味の諺ですね)

 

某掲示板やカカクコムのクチコミを見ても、「大口径マウントは画質が良い!」と言い張っている人を多く見かけます。何をもって良いと言っているのでしょうか? そのような方は、大学でレンズ光学をしっかり勉強された方やカメラメーカーにお勤めの方なのでしょかか?

大口径マウントとして話題に上るカメラといえば、最近発売された登場したキヤノンやニコンのミラーレスカメラです。

大口径マウントを生かした高性能レンズを発表しているというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、そのレンズって本当に大口径マウントの利点を生かしているのでしょうか?

 

大口径マウントは後玉を大きく設計できる

大口径マウントの利点といえば、レンズの後玉を大きく設計できることです。後玉とは一番センサーに近いところに配置されたレンズのことです。

大口径マウントのメリットである「レンズの後玉を大きく設計して画質を向上させることが出来る」ということが正しいのであれば、当然のことながらキヤノンやニコンの大口径マウントを採用した新型ミラーレスの高性能レンズでは、それはそれは大きな後玉を有しているだろうと想像できますよね。

 

では、実際に調べてみましょう。

 

とその前に、僕がメインで使用しているソニーα7R IIIのEマウントから調べてみたいと思います。

 

Eマウント用レンズ後玉の最大径は41mmだった

Eマウントの内径は46mmとなっています。確かに、キヤノンRFの54mmやニコンZの55mmのからすると小さめではあります。

実際のEマウントのレンズの後玉はどれくらいでしょうか?

ソニーのホームページで、各レンズのレンズ構成図を見比べて、後玉が大きいものをピックアップしてみました。

FE 50mm F1.4 ZA

SEL50F14Z

後玉の直径:約37mm

ZEISS銘の50mm F1.4の大口径単焦点レンズです。後玉の直径は比較的大きめの37mmとなっています。

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FE 100mm F2.8 STF GM OSS

SEL100F28GM

後玉の直径:約41mm

ソニーが誇るSTFの望遠単焦点レンズです。STFレンズなので滑らかなボケ味が特徴ですが、一方でF2.8とかなり暗いレンズとなってしまっています。

注目したいのがF2.8と暗いレンズにも関わらず、後玉の直径は41mmと比較的大きな後玉となっている点です。このレンズの例を見ると、レンズの明るさと後玉の直径は関係ないのだなとつくづく思いますね。

ソニーEマウントであっても、41mm程度であれば後玉径は問題ないということですね。

FE 400mm F2.8 GM OSS

SEL400F28GM

後玉の直径:37mm

ソニーEマウントの超望遠単焦点レンズです。望遠レンズの場合は、このようにバックフォーカスを多くとる設計になるため、後玉がセンサーよりも遠くに配置されます。つまりはミラーレスのショートフランジバックのメリットが生かしにくいとも言えます。

中一光学 SPEEDMASTER 50mm F0.95

SPEEDMASTER

後玉の直径:約39mm

ソニーEマウント用の標準単焦点レンズです。普通に入手できるフルサイズレンズの中で一番明るいレンズではないでしょうか。

F0.95という驚異的に明るいレンズであっても、後玉は39mmと普通のサイズ感に納まっています。

このレンズは、開放での描写が甘いとも言われていますが、F0.95の明るさの割には補正レンズや特殊レンズの枚数が少ないことが原因と考えられます。真面目に補正しようとしたらかなり重くそして高価なレンズになってしまいますからね。画質は後玉の直径とは無関係ということです。

 

以上、ソニーEマウントの既存のレンズを見てみました。レンズの後玉は41mm程度が最大のようですね。これでキヤノンなどの大口径ミラーレスカメラのレンズ後玉が50mmとかだったら、やっぱり大きい方が良いのかな?と思うのですが、実際のところはどうなんでしょうか?

 

キヤノンRFマウントの後玉の最大径は?

キヤノンから発売されたRFマウントシステムの最新レンズの後玉を見てみましょう。大口径マウントを生かした後玉の設計になっているのでしょうか。ぜひともなっていて欲しいところですが果たして如何に。

キヤノン EOS R ボディ
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RF28-70mm F2 L USM

28-70mm f2

後玉の直径:39mm

開放値がF2の標準ズームレンズです。開放値がF2というズームレンズとしてはかなり明るいレンズで話題となりました。さぞかし大きな後玉なのだろうなと思いましたが、意外と普通の39mmでした。

大口径マウントを生かしたレンズの筆頭だと思うのですが、遠慮せずに後玉径を50mmくらいにしなくて良いのでしょうか?それもとこんなに大きなマウント径はやはり不要なのでしょうか?

RF50mm F1.2 L USM

RF50mm F1.2

後玉の直径:41mm

開放値がF1.2の大口径標準単焦点レンズです。開放値がF1.2というレンズを最初のラインナップに加えてきたということは、やはり大口径マウントで後玉を大きく設計すると、明るいレンズが作りやすいということなのでしょうか。

しかしながら、予想とは裏腹に後玉の直径は41mmでした。41mmってソニーのF2.8の後玉と同じ大きさしかありません。これくらの大きさの後玉で良いならば、大口径マウント要らないのでは?と思ってきました。

14-21mm F1.4 (F1.55)

14-21mm

後玉の直径:約33mm

未発売の大口径超広角ズームレンズです。14mm始まりでF値がF1.4となっており、もし発売されれば、かなりとんでもないレンズとなるはずです。

某掲示板やクチコミサイトでは、これぞ大口径マウントのなせる業だと絶賛していました。こんな化け物のようなレンズですが、残念ながら後玉の直径は33mmとかなり小さめです。

僕は確信しましたよ。ハイスピードレンズ(明るいレンズ)であっても、後玉は大きくする必要はないんですね!

ちなみにこのレンズは、アメリカの特許資料で発見されたレンズで、こちらから参照できます。

33mmが信じられない方は、資料を見てみてください。32.605mmと書いてありますから。

 

以上、キヤノンの大口径マウントのレンズでは後玉の最大直径は41mmでした。41mmということは、ソニーEマウントのF2.8と同じ後玉径なので、Eマウントでも十分ということですね。大口径マウントの意味って一体何なんでしょう?

 

ソニーとキヤノンのレンズ後玉径比較の考察

ハイスピードレンズには、大口径マウント(大きな後玉)が必要は嘘

F0.95やF1.2といったハイスピードレンズ(明るいレンズ)であってもそれほど大きな後玉ではありませんでした。F2.8が一番大きな後玉であったということから考えて、レンズの明るさと後玉の大きさは直結しないということになります。後玉径はレンズの設計によるということでしょうね。

大口径マウント(大きな後玉)は周辺画質が良いは嘘

周辺画質は、補正レンズや特殊レンズにて行われるため、後玉の大きさと周辺画質とは無関係だと言えます。後玉を大きくすると周辺画質が向上するのであれば、キヤノンはなぜRFレンズの後玉が大きくしなかったのでしょうか。裏を返せば、後玉を大きくしても周辺画質が向上するわけではないということを示しています。

レンズの後玉の直径は41mm程度が上限?

後玉はあまり大きくしても意味はないということであるならば、実際の後玉の大きさから推測するに、41mmあたりがボーダーラインの可能性はあるかなと思います。後玉径41mmは、ソニーEマウントでも十分納まる大きさですね。

F値は絞りを通過する光の量

ちなみに、レンズの明るさの指標であるF値は、絞りを通過する光の量(もう少し言えば焦点距離も関係)で決定されます。

裏を返せば、後玉の大きさがどれくらい大きかろうが小さかろうが、後玉の大きさはF値には関係ないということです。

ハイスピードレンズは大口径マウントが必要」「小口径マウントはハイスピードレンズが作れない」と話している人は、全くの誤りなのでもう少しお勉強した方が良いと思います。

 

後玉の直径から考えるマウント径まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、後玉の直径に注目して、必要なマウント径を考えてみるという記事を書いてみました。

後玉は大きい方が良いというならば、すでにキヤノンのミラーレス用レンズでそうしているはずですが、実際のところはそうはなっていません。つまりは、後玉は大きくする必要がないとキヤノン自信も言っていることと同義です。そして、後玉を大きくする必要がないのであれば、大口径マウントは意味のないものになります。

大きな後玉が必要ということであれば大きなマウント径が必要ですが、そもそも大きな後玉は不要ということであれば大きなマウント径は不要ということです。ニコンも同様です。

僕の予想では、ソニーは必要十分な後玉径を把握したうえで、ギリギリのマウント径を設計してEマウントが誕生した、とも考えられるのではないかと思います。

一方で、キヤノンやニコンは、大きすぎても意味のないことは分かっていながらも、少し余裕を持ってマウントを設計した、というのがしっくりきます。

 

小口径マウントと言われて、”ぐぬぬ”となっているソニーユーザーが方がいらっしゃったら、ぜひともこの記事をキヤノンやニコンユーザーにブツけてみてください。果たしてどんな反応があるのでしょうかね。

今回の記事で取り上げたレンズの中では、大口径マウントである必要はない、という結論でしたが、もし今後大口径マウントである必要性があるレンズが本当にあるのだとしたら、それはそれでいちカメラマンとして期待したいと思います。

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