SDカードやCF、CFast、XQD、CFexpressなどのデジカメで採用されているメモリーカードの規格の違いを記事にしてみたいと思います。
皆さんお使いのデジカメの記憶媒体は何でしょうか?
多くのデジカメはSDカードだと思います。あるいはスマホでしたらMicro SDカードでしょうか。
SDカードやMicro SDカード以外にもCF、CFast、XQDなど多くのメモリーカードがありますが、最近さらにCFexpressが出てきました。
SDカードとMicro SDカードの違いは分かるけど、それ以外は良く分からないという方が多いのではないでしょうか。
今回は、SDカード、CF、CFast、XQD、CFexpressなどの各種メモリーカードの違いをまとめてみたいと思います。
メモリーカード規格ごとのおおまかな特徴
世の中のデジカメのほとんどはSDカード対応だと思いますが、より高速なデータ書込みを目指して、様々な規格のカードが策定され、カメラメーカーも各メモリーカードに対応したカメラを販売しています。
特に、高速連射や高画素機、4K動画などの高速書込みが必要な一部のプロフェッショナルモデルやハイエンドモデルでは、SDカード以外を採用しているカメラを多く見かけます。
各カードの特徴を簡単にまとめてみる
カード規格 | おおまかな特徴 |
SDカード | 多くのデジカメで採用 |
Micro SDカード | SDカードより小型のため小型なコンデジやスマホで採用 |
CF | 高速転送用。一部のハイエンドモデルで採用(キヤノン 5D Mark IV、ニコン D5など) |
CFast | さらに高速転送用。一部のハイエンドモデルで採用(キヤノン 1D X Mark IIなど) |
XQD | さらに高速転送用。一部のハイエンドモデルで採用(ニコン Z6/Z7、パナソニック S1/S1Rなど) |
CFexpress | CFastやXQDの次世代規格 |
コンシューマー用デジタルカメラのみを対象として、各カード規格の特徴を大まかにまとめてみるとこのようになります。
各カード規格をメーカー別でまとめる
メーカー名 | カード規格 |
キヤノン | SDカード、CF、CFast |
ニコン | SDカード、CF、XQD |
ソニー | SDカード |
リコー | SDカード |
富士フイルム | SDカード |
オリンパス | SDカード |
パナソニック | SDカード、XQD |
また、ここ数年以内に発売されているコンシューマー用デジタルカメラのみを対象として、各カード規格をメーカ別でまとめてみるとこのようになります。
ソニーは、SDカードはもちろんのこと、CFやCFast、XQDも販売していますが、自社のコンシューマー用デジタルカメラには、一貫してSDカードを採用しているところが興味深いですよね。
どのカードを使用するかは、メーカーの思惑が見え隠れしているので、理解を深めるだけで面白いと思います。
それではメモリーカード毎に見ていきたいと思います。
SDカード
SDカードは、正式にはSDメモリカードと言い、1999年にパナソニック、東芝、サンディスクによるSDカードアソシエーションで規格が策定されました。
メモリーカードの大きさによりSDメモリカード、miniSDカード、microSDカードと分かれており、デジタルカメラにはSDメモリカード、携帯電話にはmicroSDカードが使用されることが多いですね。
ここでは、デジタルカメラの多くで採用されているSDメモリカードに絞って書いてみたいと思います。
容量
SDHC
SDメモリカード本来のファイルフォーマットであるFAT16は、2GBまでしか認識されないため、さらに大容量化するための規格です。
SDHCではFAT32というファイルフォーマットを使用して、最大で32GBまでの容量に対応しています。
現時点で発売されている多くのSDメモリカードはこのSDHC規格のものです。
SDXC
SDHC対応のSDメモリカードが32GBまでの容量しか対応していないので、64BG以上2TBまでに対応する規格としてSDXCという規格があります。SDHCがFAT32だったのに対し、SDXCはexFATというファイルシステムを採用しています。FAT32とexFATは全く別のファイルフォーマットなので、機器によってはexFATのファイルシステムが読み込めなかったりすることがあります。
32BGのSDメモリカードと64GBのSDメモリカードは容量の違いだけと思っていると、痛い目を見るかもしれませんので、64GB以上のSDメモリカードを購入される予定の方は、念のためご自分の使用する機器がSDXC(あるいはexFAT)に対応しているかご確認下さい。
SDUC
SDXCが2TB(2048GB)までなので、それ以上の容量に対応した次世代の規格として128TBまでの容量に対応したSDUCが2018年に策定されました。ファイルシステムは引き続きexFATです。
転送速度
容量はSDHCやSDXCなどの規格がありましたが、転送速度はまた別の規格で規定されています。
UHS-I
UHS-Iは、最大104MB/sまでの転送速度に対応しています。現在発売されているほとんどのSDカードがこのUHS-I規格のSDカードです。規格上の最大が104MB/sであり、実際の速度はカード毎に異なりますので、各SDカードのスペックをご覧ください。
UHS-II
UHS-IIは、最大312MB/sまでの転送速度に対応しています。一部の高速転送可能なSDカードはこのUHS-II対応のものです。UHS-Iに比べて高い転送速度を誇りますが、その分お値段も高めとなっています。
SD Express
SD Expressは次世代の転送規格としてSDUCと同時に規定されました。985MB/sまでに対応しています。2019年5月の段階でSD Express対応の民生品用SDカードは発売されていません。
SDカードまとめ
転送速度はUHS-I(最大104MB/s)、UHS-II(最大312GB/s)の2種類の規格がある
自分が使用する機器の容量と転送速度の規格を要チェック
CF(コンパクトフラッシュ)
コンパクトフラッシュは、1994年にアメリカのサンディスクによって開発されたメモリーカードです。「コンパクトフラッシュ」という名称は、サンディスクの登録商標であるため、他メーカーは商標の使用を避けるため「CFカード」や「CF」といった名称を用いることが多いようです。
CFカードは、パソコンでもお馴染みのパラレルATA接続であることが特徴です。
パラレルATAは、パソコンではIDE接続とも呼ばれ、現在主流となったシリアルATAと比較して転送速度が遅いことが特徴です。どちらかと言えば旧式の通信方式ですね。
CFast
CFastは、CompactFlash Associationが策定したCFカードの後継規格です。
CFカードがパラレルATAという旧式の通信方式であったため、後継の通信方式であるシリアルATAを採用したことが特徴です。従来のCFカードと同様の大きさですが、通信インターフェースが異なるため、残念ながらCFカードとの互換性はありません。
最近ではキヤノン製の一部カメラ(EOS-1D X Mark II等)への採用実績があります。
XQDメモリーカード
XQDメモリーカードは、2010年11月にサンディスク、ソニー、ニコンにより発表され、コンパクトフラッシュ協会に取り上げられた規格です。
CFカードやCFastが産業用やパソコンなど幅広い用途を想定していたメモリーカードだったことに対して、XQDメモリーカードは主にデジカメに使用することを目的として開発されました。
この新しいフォーマットは高精細度ビデオカメラと高解像度デジタル写真カメラをターゲットとしている。速度理論値は2.5Gbpsで、将来的には5Gbpsに対応予定。また、技術的には理論上2TBを超える大容量化が可能です。
データ転送インターフェイスとしてPCI Expressを使用していることが特徴で、コンパクトフラッシュあるいはCFastカードとは互換性がありません。
最近では、一眼レフであるニコン D5、D500、D850、一眼ミラーレスカメラであるニコン Z 6やZ 7、パナソニック LUMIX S1やS1RがXQDメモリーカード対応カメラとして発売されています。
CFexpress
CFexpress(CFX)は、2016年9月に発表されたPCIe 3.0とNVMe 1.2をベースとした規格です。これはパソコンでも多くなってきたSSDと同様の接続方式ですね。将来的には8 GB/sまで対応可能です。
XQDメモリーカードと上位互換性を保持していることも特徴です。すでにXQDメモリーカードを採用しているニコンやパナソニックのカメラは、ファームウェアアップデートにてCFexpressに対応することを両メーカーともアナウンスしています。
CFexpressという名前からして、CFカードの後継規格のように捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、CFカードの後継規格というよりXQDメモリーカードの後継規格と考えたほうが良いかもしれません。(CFastメモリーカードとは互換性はありません)
2019年5月時点で民生品用CFexpressメモリーカードは発売されていません。
SDカードの正常進化、XQDからCFexpressへアップデートの2極化
SDカードがこれだけ普及しているので、SDカードは引き続きデジカメに採用されることは確かだと思います。一方で、1億画素以上の高画素機や高速連写機、8Kなどの高精細映像が撮影可能なカメラの登場からさらに高速書き込み可能なメモリーカードの普及も期待されています。
高速書き込みがそれほど重視されないデジカメはSDカードが採用され、高速書き込みが必要なデジカメはSDカード以外のメモリーカードが採用されるという二極化が進むのではないのかと思われます。現在のトレンドを見ると、普及用デジカメは従来のSDカードと下位互換があるSDUD &SD expressに正常進化していき、プロモデルはXQDメモリーカードと互換性があるCFexpressにアップデートとして進化していく可能性が高いように思います。
メモリーカード規格の違いまとめ
今回はデジカメで使用されているメモリーカードについて違いをまとめてみました。高画素機、高速連写機、動画機などは今後どのようなメモリーカードが採用されるか注目されるところです。
なんとなくですが、SDカードとCFexpressに2極化していくように思っています。メモリーカードの価格もバカにならないので、業界の動向を注目しながらカメラ選びをしたいところですよね。
様々な企画がこれからも出てくるかもしれませんが、引き続きこのブログでもお知らせ出来たらと思います。