ソニー α9/α7R III/α7 III、キヤノン EOS R、ニコン Z7/Z6と各社から発売されているフルサイズミラーレスカメラの測距時の絞り動作をまとめてみました。
ソニーα7 IIIとα7R IIIの測距時の絞り動作について以前記事にしましたが、かなりの反響を頂いたようで、僕と同様にみなさんも関心があるのだなと思いました。
そこで今回は、ソニーα7 IIIとα7R III以外にもα9やキヤノンEOS R、ニコンZ6・Z7についても気になったので、AF測距時の絞り動作について調べてみることにしました。
キヤノンやニコン機種については、ヨドバシショップ店員の方と仕様を確認しつつ実際にデモ展示品を触って確認しております。ソニー機種については操作に慣れていますが、キヤノンやニコン機種については不慣れなこともあって、僕自身やヨドバシ店員の方も気づかなかないような設定を見落としているかもしれません。その点はご了承ください。
ソニー α9、α7R III、α7 IIIの絞り羽根動作
ソニーについては、第三世代であるα9、α7R III、α7 IIIの3機種について確認してみました。
確認に使用したレンズは、FE 24mm F1.4 GMです。
α9
AF-Sの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【設定効果反映On】 実絞り(設定したF値) 【設定効果反映Off】 開放絞り | 【F2まで】 実絞り(設定したF値) 【F2以降】 F2固定 | 実絞り (設定したF値) |
ライブビュー表示では、設定効果反映機能をOnにすると実絞り、画面効果反映機能をOffにすると開放絞りになります。したがって被写界深度の確認を常にする場合は、設定効果反映機能をOnにしておく必要があります。
AF-ON時では、F2までは実絞り、F2以降ではF2固定となります。以前の記事ではFE 24-105mm F4 G OSSを確認に使用しており、開放F4固定のように見えていたため、AF-SのAF-ON時は常に開放付近と書いていましたが、明るいFE 24mm F1.4 GMで試したところF2以降ではF2で固定されることが分かりました。
AF-Cの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【設定効果反映On】 実絞り(設定したF値) 【設定効果反映Off】 開放絞り | 【F11まで】 実絞り(設定したF値) 【F11以降】 F11固定 | 実絞り (設定したF値) |
ライブビュー表示は、AF-Sの時の同様です。
AF-ON時では、F11まで実絞り、F11以降でF11固定となります。AF-Sの時はF2が境界だったのに対し、AF-C時はF11が境界となっているようですね。
α7R III
AF-Sの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【設定効果反映On】 実絞り(設定したF値) 【設定効果反映Off】 開放絞り | 【F2まで】 実絞り(設定したF値) 【F2以降】 F2固定 | 実絞り (設定したF値) |
AF-Sの場合は、α9と同様です。
AF-Cの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【設定効果反映On】 実絞り(設定したF値) 【設定効果反映Off】 開放絞り | 【F8まで】 実絞り(設定したF値) 【F8以降】 F8固定 | 実絞り (設定したF値) |
ライブビュー表示は、AF-Sの場合と同様です。
AF-ON時は、F8まで実絞り、F8以降でF8固定となります。α9がF11を境にしていたのに対し、α7R IIIはF8から挙動が異なっていますね。
α7 III
AF-Sの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【設定効果反映On】 実絞り(設定したF値) 【設定効果反映Off】 開放絞り | 【F2まで】 実絞り(設定したF値) 【F2以降】 F2固定 | 実絞り (設定したF値) |
AF-Sの場合は、α9やα7R IIIと同様です。
AF-Cの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【設定効果半反映On】 実絞り(設定したF値) 【設定効果反映Off】 開放絞り | 【F11まで】 実絞り(設定したF値) 【F11以降】 F11固定 | 実絞り (設定したF値) |
AF-Cの場合はα9と同様です。
ソニー機種をまとめると
AF-Cの場合のAF-ONと挙動のみ異なっているようです。α9とα7 IIIがF11まで実絞り、F11以降がF11固定であることに対し、α7R IIIはF8までが実絞り、F8以降がF8固定となっています。
キヤノン EOS Rの絞り羽根動作
キヤノンはEOS Rを確認しました。
確認に使用したレンズは、RF24-105mm F4 L IS USMです。
EOS R
ワンショットAFの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
開放絞り | 開放絞り | 実絞り (設定したF値) |
ライブビュー表示は、F値によらず開放絞りです。
AF-ON時も同様に、F値によらず開放絞りです。
サーボAFの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
開放絞り | 開放絞り | 実絞り (設定したF値) |
ワンショットAFと同様に、ライビュー表示およびAF-ON時は開放絞りです。
キヤノン機種をまとめると
ワンショットAFとサーボAFともに、ライビュー表示とAF-ON時は開放絞りでした。ソニーと比べると随分シンプルですね。
一眼レフ開放絞りが基本だったことを考えると、キヤノンのミラーレスカメラは一眼レフの延長線と位置付けられているのかもしれません。
開放で測距するとなると、フォーカスシフト(F値を変更するとピント位置がズレる現象)が心配ですが、そのあたり考慮してレンズ設計がされているのかが気になるところです。
ニコン Z7・Z6の絞り羽根動作
ニコンについては、Z7とZ6を確認してみました。
確認に使用したレンズは、NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sです。
Z7
AF-Sの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 実絞り (設定したF値) |
ライビュー表示では、F5.6まで実絞り、F5.6以降はF5.6固定になります。
AF-ON時もライビュー表示と同様に、F5.6まで実絞り、F5.6以降はF5.6固定となっています。
AF-Cの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 実絞り (設定したF値) |
AF-CもAF-Sの場合と同様です。
Z6
AF-Sの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 実絞り (設定したF値) |
AF-Cの場合
ライブビュー表示 | AF-ON時 | シャッター全押し時 |
【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 【F5.6まで】 実絞り(設定したF値) 【F5.6以降】 F5.6固定 | 実絞り (設定したF値) |
AF-Cは、AF-Sの場合と同様の挙動でした。
ニコン機種をまとめると
AF-SとAF-Cともに、ライビュー表示とAF-ON時はF5.6まで実絞り、F5.6以降はF5.6固定となっています。
ソニー機種のようにあるF値を境界にして挙動が異なっていますが、ライビュー表示も同様にF5.6を境界にして挙動が異なっている点がソニー機種と異なる点ですね。
一部機能は実絞りと開放絞りを変更可能
設定効果反映機能
ライブビュー表示での絞り値やJPEG設定を常に画面に表示させる機能です。絞り値も再現されるため、実際に絞り羽根が動いて被写界深度の変化も背面液晶やファインダーに表示されます。
ソニー機種では、同機能はデフォルトでOnになっており、ソニー機種では当たり前の機能となっていますが、キヤノンやニコンでは残念ながら同機能を設定画面上で確認できませんでした。
絞りプレビュー機能
設定効果反映機能は常に表示させる機能ですが、絞りプレビュー機能はいずれかのボタンに割り当てて、ボタンを押している間だけ動作する機能です。ボタンを押している間だけ絞り羽根が動いて被写界深度の確認が出来ます。
こちらの機能については、ソニー、ニコン、キヤノンともに機能を有しています。
3社三様の絞り羽根動作
開放でライブビュー表示や測距をするキヤノン、基本実絞りで行うソニー、その中間のニコンという結果でした。
言い方を換えれば、一眼レフライクなキヤノン、ミラーレスらしいソニー、その中間のニコンという感じでしょうか。
開放絞りなのか実絞りなのかは、一長一短があるので、どちらが優れているかは一概には言えませんが、設定で変えれるようになっていると良いなと思います。
ソニー、キヤノン、ニコンのAF測距時の絞り羽根動作まとめ
今回は、現在発売されているフルサイズミラーレス、ソニー α9/α7R III/α7 III、キヤノン EOS R、ニコン Z7/Z6のAF測距時の絞り動作についてまとめてみました。
一括りにフルサイズミラーレスカメラといっても、メーカーによって挙動が全然異なることが分かりました。
測距方式によって、一長一短があると思うので、各メーカーの特徴を踏まえて撮影に臨むと、より撮影が楽しめるのではないでしょうか。