日本シャフトのスチールシャフト『MODUS3 TOUR120』をレビューしたいと思います。ダイナミックゴールドや他のMODUS3シリーズとの比較も含めて僕の印象を書いてみたいと思います。
アイアン用MODUS3シリーズは、現在までに4種類発売されましたが、第一弾として日本シャフトから発売されたシャフトがMODUS3 TOUR120でした。
ダイナミックゴールドから少し軽くしたい、少し優しくしたいという方に、良くオススメされるシャフトですが、ダイナミックゴールドの比べると結構性格が異なるシャフトでもあります。
今回は、フレックスごとの性格の違いやダイナミックゴールドとの違いを含めて、レビューしてみたいと思います。また、他のMODUS3シリーズとの違いやMODUS3 TOUR120をアイアンに使用した際のウェッジシャフト選びについても触れたいと思います。
ちなみに、現在MODUS3 TOUR120のXフレックスをエポン AF-302に挿して使用していますので、僕は結構好きなシャフトです。
日本シャフト MODUS3 TOUR120
MODUS3 TOUR120は、日本シャフトの新シリーズMODUS3シリーズの第一弾として、2011年に発売されました。スチールシャフトと言えば、ダイナミックゴールドやライフルが長年使われてきましたが、ダイナミックゴールドより少し軽いシャフトというのはほとんどありませんでした。
日本シャフトは、以前から様々な種類のスチールシャフトを販売していましたので、ダイナミックゴールドより少し軽いシャフトがなかった、というと語弊があるかもしれません。
ダイナミックゴールドより少し軽量なシャフトは、多数出ていますが、どれもダイナミックゴールドの代替にはなり得なかった、というのが正しい表現ですね。
N.S.PRO 950 GH
日本シャフトのスチールシャフトと言えば、N.S.PRO 950GHが軽量シャフトの代名詞といっても過言ではないくらいのヒット商品です。
N.S.PRO 950GHは、先端がしなりやすいシャフトのため、球が上がらないアベレージゴルファーにとってはマッチするシャフトです。一方で、球をそれほど上げたくないゴルフファーやハードヒッターにとっては、N.S.PRO 950GHは、あまり合わないシャフトとなっています。
日本シャフトの中で、N.S.PRO 950GHよりも重いシャフトはN.S.PRO 1050GHやN.S.PRO 1150GHなどがありますが、いずれも球が上がりやすいシャフトでした。
日本品質で、精度が高いシャフトですが、球が上がりにくいアベレージゴルファー向けというイメージだった日本シャフトが新たに打ち立てたブランドがMODUS3シリーズです。
MODUS3 TOUR120のスペック
一般的なシャフトと書かれているのは、ダイナミックゴールドだと思われます。公式にダイナミックゴールドと比較していることから見ても、相当ダイナミックゴールドを意識したシャフトだということが伺えます。
特徴
先端剛性
先端剛性はかなり高いです。ダイナミックゴールドよりもかなり高いと感じます。先端のため、スイングした感触では分かりづらいですが、打ち込んだときに剛性の高さを感じます。多少引っ掛けてもケガが少ないシャフトとも言えます。
その代わり、シャフトの先端が勝手に走って、球を拾ってくれるようなお助け機能はありません。
中間剛性
中間剛性は、先端剛性とは異なり低めです。スイング中にある程度にしなりを感じるため、変に力むことは少なくなります。
手元剛性
手元剛性もかなり低めです。特に左手(右打ちの場合)に当たる部分はグリップを通しても剛性の低さを感じます。切り返しの際に手元がしなるため、タイミングの取りやすさに繋がります。僕は、手元剛性が高いシャフトだと切り返しで力むことがあるため、手元剛性が低いシャフトの方が打ちやすいと感じます。
ステップ長
後日追記予定。
各フレックス毎のインプレッション
Rシャフト以外のS、X、TXは打ったことがあり、SとXは実際に長期使用しました。現在はXのみ残しています。
Sフレックス
全体的にかなりしなるシャフトです。先端だけ硬いかなと思います。力を入れなくてもシャフトがしなってくれるため、力むことを防いでくれます。MODUS3 TOUR120のSフレックスはカーボンぽい、という評価をネットで見たことがありますが、確かにその通りだと思います。
Xフレックス
Sフレックスがそれほど重量感を感じなかったのに対し、スペック6gの差以上に重くなったと感じます。しっかり感も全体的に増しました。体感的には、ワンフレックス以上ハードになったようにも思います。
TXフレックス
Xフレックスからさらに重量が増しますが、SからXの差ほどXからTXの差では感じません。しっかり感も増しますが、少し重め少し硬めのシャフトだなと思う程度で打ちにくさはありません。Xフレックスで既にハードなので、TXにする理由はあまりないかなと思います。
Sフレックスがソフト目、Xフレックスがハード目なので、SXがあれば一番良いのですが。日本シャフトさんぜひ作ってください!
番手ずらしすると?
番手別設計になっているシャフトを番手をずらして挿すことを番手ずらしと言います。7番用シャフトを6番に挿せば、普通に6番シャフトを挿した時よりも固くなり、7番シャフトを8番に挿せば、普通に8番シャフトを挿した時よりも柔らかくなります。
その理論で言えば、Sフレックスを硬くなるように番手ずらしするか、Xフレックスを柔らかくなるように番手ずらしすれば良いことになります。しかしながら、このMODUS3 TOUR120に関して、僕は番手ずらしをオススメしません。
番手ずらしをすると、バットカット量が異なってくるため、シャフト全体のキックポイントがズレてきます。シャフトが一様にしなるような性格のシャフトであれば、多少キックポイントがズレてもシャフト全体の正確には影響はありません。MODUS3 TOUR120は全体的にかなり剛性分布が上下する特徴のシャフトです。キックポイントがズレると、シャフトの性格が全然違ってくる可能性が高いのです。番手ずらしによるキックポイントの変化まで計算に入れて、番手ずらしするのであれば良いと思いますが、通常はそこまで計算して番手ずらししませんので、このシャフトについてはオススメできません。
ダイナミックゴールドとの比較
同フレックスで比較すると、先端はダイナミックゴールドより硬く感じます。一方で、中間および手元はダイナミックゴールドより柔らかく感じます。重量差もかなり軽いため、全体的にダイナミックゴールドより優しいシャフトだという印象です。
ダイナミックゴールドのSフレックスから移行するには、MODUS3 TOUR120のXフレックスが最適という記事をよく見ますが、これは人によると思います。僕は、ダイナミックゴールドのSフレックスとMODUS3 TOUR120のXフレックスを比較すると、MODUS3 TOUR120のXフレックスの方がハードに感じます。
かといって、MODUS3 TOUR120のSフレックスは柔らかいですし、番手ずらしは自分でオススメしないと書いているぐらいですし。MODUS3 TOUR120のフレックス選びは難しいと思います。
ダイナミックゴールドのSフレックスが問題なく打てていた方が、MODUS3 TOUR120に移行する場合はXフレックスで良いと思いますが、ダイナミックゴールドのSフレックスが少しハードに感じていた方が移行する場合は、MODUS3 TOUR120のSフレックスが良いと思います。
価格は、MODUS3 TOUR120の方が若干高めですが、MODUS3 TOUR120の方が製品精度は良いので、価格が高くても納得感はあります。
バランスポイントは、MODUS3 TOUR120が50%程度、ダイナミックゴールドが51%程度と、若干MODUS3 TOUR120の方が先重感があります。
他のmodus3シリーズとの比較
MODUS3シリーズは、現在4種類が発売されていますが、剛性分布を見れば一目瞭然なように、4本ともかなり正確の異なるシャフトだということが分かります。
僕はTOUR130のSフレックス、SYSTEM3 TOUR125のSフレックス、TOUR105のSフレックスとXフレックスの使用経験があります。
MODUS3 TOUR130
TOUR120が先硬、中柔なのに対し、TOUR130は先柔、中硬と真反対の性格のシャフトです。中間が硬いシャフトなので、振動数はかなり出ますが、振動数ほど硬さは感じません。僕も過去にTOUR130のSフレックスを使用していましたが、TOUR130が僕のゴルフ人生の中で一番スコアが出たシャフトだったと思います。腕力に任せて多少乱暴に振っても、シャフトがボールを拾ってくれるような感覚でした。
いつの間にか使用しなくなってしまった理由としては、オートマティックに打て過ぎるため、いつの間にかスイングがなおざりになってしまい、これではいかん!と思い切って変更してしまいました。
MODUS3 SYSTEM3 TOUR125
SYSTEM3 TOUR125は、TOUR120の特徴を消したようなシャフトだという印象です。TOUR120が硬いところ柔らかいところがハッキリしていたのに対し、SYTEM3 TOUR125はTOUR120を穏やかにしたようなシャフトです。
SYSTEM3 TOUR125は、カウンターバランスになっているため、振った感覚も少し違います。TOUR120がヘッドの重みを感じて触れるのに対し、SYSTEM3 TOUR125は重量感が手元にあり、手元が暴れにくいように感じます。
ちなみに、このシャフトのみSYSTEM3と付きますが、開発時のコードネームがそのまま採用されただけのようであり、このシャフトだけ特殊な技術が用いられているといったことはありません。
MODUS3 TOUR105
TOUR105は、軽量なわりにしっかりしたシャフトというインプレッションをよく見ますが、TOUR120と比較した場合、TOUR120の先端の硬さを穏やかにしたシャフトと言えます。
剛性分布的にも全体的にフラットなので、軽量な割にはしなりを感じにくいシャフトです。TOUR120がしなりを感じやすいシャフト、TOUR105がしなりを感じにくいシャフトとすると正反対の性格とも言えます。
手元の剛性だけに注目すると、両シャフトとも手元が良くしなるシャフトです、Sフレックスだとかなり手元が柔らかいので、Xフレックスを試してみると逆に硬くなりすぎます。
SフレックスとXフレックスの中間の硬さが欲しい場合は、番手ずらしをすることになります。TOUR105は、全体的にフラットな剛性分布のため、番手ずらしをしても、TOUR120ほどキックポイントが狂うということはありません。
各フレックスの間の剛性を出したいなら、TOUR105の番手ずらしはオススメです。
XSフレックスなら、Xシャフトを柔らかい方に2番手ほど番手ずらしすればちょうど良い感じになります。
MODUS3 TOUR120に合うウェッジシャフトは?
MODUS3 TOUR120をアイアンシャフトに挿している場合、ウェッジにどのシャフトを使用したら良いか迷う方もいるかもしれません。
MODUS3 WEDGEシリーズはオススメできない
MODUS3シリーズには、ウェッジ専用シャフトのMODUS3 WEDGEシリーズがあります。重量別に3種類揃っているMODUS3シリーズのウェッジ専用シャフトということで、気になっている方も多いかもしれません。
しかしながら、僕としてはオススメできません。
MODUS3 WEDGEは、先端がそれほど硬くはなく、手元がかなり硬いシャフトで、MODUS3 TOUR120とは、真反対の性格のシャフトです。
MODUS3 TOUR120のピッチングウェッジ用シャフトがオススメ
MODUS3 TOUR120のピッチングウェッジ用のシャフトをアプローチウェッジやサンドウェッジに挿すことをオススメします。MODUS3 TOUR120ほど先端が固いスチールシャフトは他にないので、無理に探す必要もありませんし、アイアンシャフトとウェッジシャフトを敢えて変える必要もありません。
日本シャフト MODUS3 TOUR120 まとめ
今回は、日本シャフトのMODUS3 TOUR120の使用感を書いてみました。
剛性分布を見てもかなり特徴のあるシャフトだということが分かりますが、実際にスイングしてみても硬い個所と柔らかい個所がハッキリしているので、かなりしなり感があります。
ダイナミックゴールドはどちらかと言えば、あまりしなり感がなく、シャフトに仕事をして欲しくない人が好んで使用していました。そう意味では、ダイナミックゴールドからの乗り換えで考えていると痛い目を見るかもしれません。
逆に、ダイナミックゴールドのしなり感が感じられずに難しいと思う方には、フィットする可能性があります。
フレックスによって全然印象が異なるので、まずは試打してみることをオススメします。